「レオン!」

アレンと私が固まったように
レオンを見ていると
第一王子シリウスが足速に近寄ってきた。
シリウスの後ろには
服の裾を掴みながら兄を追いかける
第二王子キースもいる。

クリーニング魔法の件は
王子の耳にも届いていて
心配してくれていたみたいだった。

私は頭を下げてシリウス王子にもお礼を告げた。

「私は報告を受けただけなんだ。
 着替室もレオンの提案で、
 もしものためにと
 用意しておいて良かったよ。」

(え、さすが秀才!6歳でそんな気遣いができるの?)

素直に驚いた顔をレオンに向けると
レオンは優しく瞳をゆがめ
またすぐに無表情に戻る。

(また笑った!)

瞬きをする間ぐらい一瞬の出来事だったけど
シリウスも驚いた顔をしていた。


シリウスに顔を向けていると
第二王子キースがシリウスの袖をひいた。

背が低くほっぺたが赤いからか
キースはギルよりも幼く感じる。

上目遣いでこちらを向いたキースと瞳があい
私はにっこりと微笑んだ。

元々赤い顔が益々赤く染まり
袖を握る力を強め
シリウスの背中に顔を隠した。

(可愛いなぁ・・)

にこにこしながらキースを見つめていると視線を感じ
視線の感じる方へ顔を向けるとシリウスと目があった。
心なしかシリウスのほっぺたも赤い。
シリウスは目が合うとすっと視線を外された。



「あ、あの・・・・」
話の区切りがついたのを見計らって
女の子の一人がシリウスに声をかけてきた。
後ろには同じ年くらいの女の子を数人引き連れている。

本来は王子と公爵令嬢の間をわって
話かけることはマナー違反とされているが、
相手はまだ10歳未満の女の子。
お話したくて、いてもたってもいられなかったのだろう。

私はお辞儀をしてその場を離れた。

「!」
途中、シリウスが手をのばそうとし
何か言いたげな顔をしていたことが気になったが
少しこちらを見ていた後、
話かける女の子の方へ顔を向けたので
私はその場を後にした。