秘密♡の火曜日


「朝兄、抱っこー」

「おっ、いいぞ」

軽々と5歳児の希実ちゃんをひょいと抱き上げた。

「夏鈴ちゃんは朝兄とお友達?」

希実ちゃんに話しかけられた。

「えーっと、友達では……」

私の返事を遮った。

「夏鈴ちゃんはな〜、兄ちゃんと同じ学校なんだぞ」

「へぇ〜そうなんだ、じゃあお友達だね!」

嬉しそうに会長と話している希実ちゃんには
違うとは言えなかった……

「夏鈴ちゃんはバイトしてんの?」

夏鈴ちゃん?

会長にちゃんづけで呼ばれた。

園児の前で、訂正もできないか……

「バイトじゃなくて、お手伝いなんです」

「手伝い?」

「ここは母の経営している保育園で、手が足りないそうで、この間から手伝ってます」

「あのね、静(しずか)先生がお怪我しちゃったんだよ、朝兄」

「そっかー、大変だな」

「でも、私は保育士ではないから掃除したり、車の誘導したりしてるだけですよ」

「夏鈴ちゃん、偉いのよ、お掃除いつもしてるの…ゴシゴシって」

希実ちゃんは掃除のマネをした。

「そうだな、夏鈴ちゃん偉いな」

園庭にお迎えの車が入ってきた。

「ちょっとすみません」

車の方に行き停める位置を教えている。

「こんばんは、お疲れ様です!」

車から出てきた母親に声をかける。

「ただいまー」

母親は夏鈴と少し話してから園に入っていった。

夏鈴は小走りで戻ってくる。

「あの、会長は、歩きでお迎えですか?」

「うん、さすがにバイクには乗せられないしな」

「そうですね」

「ん?俺がバイク通学なの、知ってた?」

「あっ、何回かお見かけしたことがあります」

「ねぇ、ちょっとだけ鉄棒してもいい?夏鈴ちゃん」

「うん、今は車が少ないからいいよ」

会長は希実ちゃんを降ろした。