遠距離恋愛は人をダメにする。

しばらく4人で懐かしい話をした後、家路につく。

本来は彰くんは東小出身なので晴良らと同じ方角なのだが、菜々と一緒に帰るため、途中のコンビニの角で別れた。

「いやぁ、楽しかった」

「うん。楽しかったね」

「あの優って、いい奴だよね」

「うん。凄くいい人」

「彼って彼女とかいないの?」

「いるって聞いたよ。晴良ちゃんから」

「だろうね。どんな彼女だろうね」

「晴良ちゃんから名前は聞いたよ。えーと、桃香ちゃんだっけ」

「そうなんだ。じゃあ、可愛いのかなぁ」

「じゃあって何?」

「あの優って子の彼女だよ。やっぱり可愛いんじゃない?」

「うわっ、それ引くわぁ」

「えっ、なんで?」

「男って、本当に、もう…」

「何、それ?」

「あの優くんって子が外見だけで選ぶと思う?他の男子みたいに?」

「ま、そうだけど…だけど、結局、可愛い子が近寄ってくるんじゃない?」

「はぁぁぁ」

「そういうけど、じゃあ、菜々はその桃香っていう女の子見たの?」

「見てへんけどさぁ」

「じゃあ、わからんやん」

「あ、でも、でも、晴良ちゃんが言ってたけど、凄くいい子って言ってたよ」

「どんな感じで?」

「そ、それは聞いてないけど」

「晴良は会ったことあるんだぁ」

「うん。向こうで会ったって言ってた」

「そうなんだ。うん?向こう?向こうって何?」

「話せば長い話なんだけど…」
菜々は彰に、晴良が東京の日野に行ったこと、偶然、桃香に会い、その桃香が男子と待ち合わせをしていて、その男子が優であったことを話した。

「凄いね。そんな偶然」

「うん。ドラマみたい」

「あれ?じゃあ、今日は知ってるの?その桃香っていう子。優がこっちに来てること」

「どうなんだろう。それ、晴良ちゃん何も言ってなかったよね」

「あれ?優って、そもそもなんで来てるの?」

「えっ、あ、えっ?そ、それは親と来てるんじゃない?一応、幼なじみだし。親同士が知り合いみたいな」

「ああ、そうかぁ。お互いの家に行ったり、泊まったりしたって言ってたもんね」

「親同士仲がいいんだ」

「それじゃない。優の親が晴良の家に遊びに来たってことかぁ。で、優も付いてきた」

「うん。そうだよ」

「ま、うちらの親も一応、知り合いだもんね」

「まぁね。前、彰くんの家に遊びに行った時、彰くんのお母さん、覚えてたもんね」

「だね」

「滑り台から落ちた子って」

「ははっ」

「それはそれで複雑なんですけど」

「ま、いいじゃん」

「でも、さっきの話に戻すけど、その桃香っていう子、知ってるのかなぁ」

「ああ、こっちに優が来てることね」

「晴良ちゃんに聞いてみる?」

「えっ?」

「あ、LINEで…だよ」

菜々は早速、晴良にLINEをする。

【晴良ちゃん。さっきは楽しかったね】

【今日、優くんがこっちに来てること、優くんの彼女さんは知ってるの?】

「どう?返事来た?」

「ううん。まだ。既読も付かんわ」

「ま、優と晴良は、まだ晴良の家に向かってる最中だね」

「だね」