「そういえば、あなたって、私の小学校のときの後輩に似てるのよ。
 縦割り掃除班で一緒だったマコっていう子。

 犬コロみたいに私の後ついて来てて可愛かったわ」

「……それ、私です」

「えっ?」

「私です、たぶん。
 小学校だけ、公立が荒れていたので、吾妻の親戚が勧めてくれた私立に行ってたんです。

 一年生で入学したとき、友だちが私の名前をマキコと勘違いしてて。

 じゃあ、もう、あだ名、マコでいいよねって。

 あの面倒見のいい先輩、やっぱり、寿々花さんだったんですね」

 私も最近、気がついたんです、と笑う真希絵さんに、

「あなたも私の名前知らなかったの?」
と問うと、真希絵さんは無言で微笑んでいた。

 語らなかった理由はわかる。

 彼女もまた、私のあだ名しか知らなかったのだろう。

 みんな私のことを女帝と呼んでいた。

 幼少期から私は市民に圧政を強いてる女帝のイメージだったようだ。