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文化祭が終わると、一気に受験の雰囲気になる。
内部進学とはいえ、テストの成績が悪ければ進学は危ういため、みんな勉強に熱が入っていた。
その日は、伊織は仕事のため学校を休みだ。
私は1人で登校して、薫と休み時間に単語帳を読んでいた。
するとーーーー。

「ねぇねぇ、真琴ちゃん! これどういうこと!?」

肇君がが興奮気味にやってきた。
何かをプリントした紙を持っている。

「今パソコン室で調べものをしていたんだけど、これ!」
「なぁに?」

バンッと机に置いて見せてくれた紙は何かの記事のようだ。そして、それを見て言葉を失くす。

「なにこれ!」

私の変わりに薫が叫んだ。

「この子、あのミスコンの子だよね? 真琴ちゃん、知ってた?」
「知らない……」

そこには、とても綺麗で華やかなウエディングドレスを着て、着飾った日葵ちゃんがポーズを取っていた。記事には伊織の会社が新作ドレスを発表したと書いてある。そして、写真の下にはモデル、川口日葵と書いてあった。

「新作ドレスをなんでこの子が着てるの?」

薫は眉間にシワを寄せて肇君に掴みかかる。

「知らないよ! ネットニュースにのってたからプリントアウトしてきただけだって」
「日葵ちゃん……、伊織の会社のモデルになったの……?」

そんな話、聞いていない。

「家に帰ったら、雨宮にちゃんと話を聞いた方が良いよ?」

薫が気遣わしげに背中を擦ってくれた。

「うん……」

ぎこちなく頷くしか出来なかった。