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「真琴……、そんな顔するなって」
「もとからこんな顔です」

伊織の言葉に呟くように反論する。
コンテストが終わって、伊織と過ごす後夜祭。
みんな校庭で花火をしたり写真を撮ったりなど、楽しんでいる中。
私たちは教室で過ごしていた。
伊織はふて腐れる私の頬をツンツンと突っつく。

「なんで笑ってるの?」

私を見ながらニコニコと微笑む伊織に益々口を尖らせると「だって可愛いから」とサラッと言われた。

「あ、赤くなった。本当に真琴は面白いな」
「私で遊ばないで」
「嫉妬している姿も可愛い」

嫉妬!?

「嫉妬なんてっ……」

言いかけて言葉に詰まる。
確かに……、嫉妬しているし、面白くない。
日葵ちゃんにあんなに堂々と宣戦布告されて、良い気分の妻なんかいないもの。

「そんなに心配することじゃない」
「……わかってるけど……」
「俺には真琴だけだよ」

手を握りながらそう言われて、恥ずかしくなった。言葉にしてそう言ってもらえたのは嬉しい。


「俺は真琴だけが好きだ。それだけは忘れないで」
「伊織……」

抱き締めてくる伊織に、そっと身体を預けた。