人は誰しもが一度は嘘をついた事があるだろう。
人間がつく嘘には二つある。
それは人を守る優しい嘘。
もう一つは、自分を守り固め破滅する嘘。
どちらの嘘も一度つくとその嘘がバレないように
また新しい嘘つく。

この物語は嘘に取り憑かれた女の末路。


いつからだろう
こんな風になってしまったのは。
堕ちる所まで堕ちた。もう何も無い。

私が初めて嘘をついたのは小学生の時だった。


その頃の私は母親に自分だけを構ってほしくて
ただそれだけの事だった。

私の家庭はいわゆる、貧困家庭だった。
母親は働いておらず、私を含め5人の子供がいた。
私には腹違いの姉が3人いる。血が繋がっているのは弟だけ。母親は離婚し、3人の子供を捨て、今の父親と内縁の関係に。その父親との間にできたのが私と弟だ。父親は働いていたが給料は少なく、とても生活なんてでるわけがなかった。
父親は機嫌が悪いと暴力を振るうような人だった。
毎日、父親の顔色をうかがう生活。母親は全てに余裕がなく私たちに構うことはなかった。
そんな生活をしているうちに私はある感情を抱いた。
愛されたい。他の子はいつも笑顔で家族の話をする。
公園で一緒に遊んだとか旅行に行ったとか。
幸せそうで羨ましかった。
私は母親と遊んだ記憶なんてない。
自分だけを見て構ってほしいといつしか思うようになっていった。
その時、初めてついた嘘。それは私が学校でいじめられているとものだった。母親は心配してくれるだろうか、私に優しい言葉をかけてくれるだろうか。
そんな風に思いながらついた嘘だった。
私はその嘘を本当であるかのように話をした。
そして自作自演で、教科書に罵倒するような言葉の落書きをし、見せた。
母親は私の言うことを真に受け、学校に連絡をした。
その時、私は母親が自分の為に学校に連絡してくれた事が嬉しかった。