苦手な彼は私の王子様

「おー！おはよう佳奈」

そう笑顔で応える恋に私は今度は胸が握りつぶされるような苦しさを覚えた。

「だっ誰？」

小さく呟く私の声は佳奈って子にかき消されてしまった。

「あれー？恋の隣って空席じゃないの？？」

佳奈って子は私に気づくと恋に質問した。

「おう。うちのクラスの委員長、今日から復帰だからみんなでお祝いしたんだよ」

「へぇー。なるほどね！恋の隣の席かいいな」

さっきまで騒がしかった教室もなんだか静かになっている。

「佳奈も早く教室戻れよ！」

「いいのいいの！あと5分あるんだもん」

なんだか親密な関係なんだろうなー。

と苦しくなってきた私はいてもたってもいら

れずその場から離れることにした。

「おい。愛どこ行くんだよ」

後ろからそんな声が聞こえてきたけど私は無視して保健室に駆け込んだ。