陣兄はちょうど、教室に入ってくるところだった。
しっかり謝らないと。
あとこれから宜しくお願いしますって言わないと。けじめは自分でつけるんだっ!

「あ、あのっ。陣に、、、」

「おいお前らっ!何勝手に教室で暴れてんだっ!先に職員室に来い、バカ野郎。」

私が話しかけるのと同じタイミングで陣兄は言った。
って、え!?
職員室行ってなかったの、五つ子たち。
そりゃあまあ、なんと言うか、、、。

「ってかなんだよ。お前らその騎士君らと知り合いか?もしかして、姫とも、、、。」

今が言うタイミングだっ!

「じ、陣兄っ!」

「へっ!?ひ、姫!?来てたのか?」

陣兄が驚いて私の方を向いた。

「あのね、えっと、昨日はごめんなさいっ。」

頭を深く下げ返事をじっと待っていると、、
ぽんっ。頭に手が置かれた。
そして、、、。

「仕方ねえだろ。こっちこそ情けなくてごめんな。」

悲しそうに微笑む顔が痛々しくて、私は思わず反論しようとした。

「そ、そんなこと」

「でもな、今のお前には頼もしい騎士たちがいるみてえだし、騒がしいうちの五つ子幹部もどうやら仲間らしいしな。大丈夫だ。
これからも俺にとびきり可愛い笑顔を見せてくれればそれでいいんだよ。
いつまでもお前は、俺の可愛い妹だからな。」

今度は優しく、どこかすっきりしたような笑顔で言った。

仲間、妹。私が気付いていなかった事を気付かせてくれた。
しかも、あの時の事は何もふれずに。
怒ってもいいのに。
優しい、優しすぎるよ、私のお兄ちゃんは。
めそめそしていないで、私も陣兄の思いやりに答えないと。私なりの、やり方で。

「私、陣兄のことだ~い好き!!」

ちょっと甘えた口調になっちゃったけど、昔に戻れたみたいですごく嬉しい。

「ああ、俺もだ。」

少しびっくりしてから、優しく微笑んでくれた陣兄は、そのまま私の頭を撫でてくれた。
その手がとても暖かくて、心がぽかぽかして、この幸せを逃したくないと思った。

ただ、それと同時に、壊してはいけないと改めて思った。この人たちだけは、絶対に。
たとえ自分の命を、犠牲にしてまでも。

そろそろあいつは動くだろう。あいつはきっと私を狙う。あいつは悪くないんだ。
悪いのは私だ。だから、
この悲劇は私の手で止めてみせるっ。