学校に着くと多くの視線を感じた。
居心地が悪かったが、幼馴染みたちがいたので不思議と怖くはなかった。
んん?手を、振って?
まるでアイドルのライブに持っていくかのようなうちわを持って熱烈にアピールしている子たちがいる。
ああ、そういうことか。
昇がいるからね。俳優だしね。
一人で納得していると、うちわを持った子たちが叫んだ。

「手を振ってくださ~い。姫花様~!!」

えっ!?わ、私、、、?
よく分かんないけど、手を振ればいいのかな?
そーっと手を振ると、女の子たちがキャー!!とさけんで倒れてしまった。
え?大丈夫かな!?
不安そうにしていると、城利が言った。

「大丈夫ですよ。ささ、教室へ行きましょう。」

「う、うん。分かった。」

とっさに返事をしてしまったが、良かったのだろうか。まあ、いいか。深く考えすぎない方が良い時もきっとあるだろう。

そうこうしている内に、教室に着いた。
すーっ。はあぁぁ~。
よしっ!大丈夫。
まずは陣兄に謝罪して、これからも宜しくお願いしますと伝えよう。
頭で確認しながら扉を開けたその時、五つの黒い影が飛び出してきた。

「姫~~~!!!会いたかったよぉ~!!」

それを見て、幼馴染みたちは顔をひきつらせていた。

それと対照的に姫様は、

ふふふ、これから楽しくなりそうな予感がするな。しみじみとそんな事を思い、顔をほころばせていた。