「……殺された? 俺が?」



「加賀見さんの頭叩き割って、

脳みそが飛び散るくらい殴り続けたから、

記憶が飛んじゃったのかしら?」



女はくすくすと笑い声を漏らした。

とろんとした目を細めて俺を見ている。


「……和果奈?」

そうだ、この女は和果奈だ。

俺がいつも指名している娼婦じゃないか。

どうして今まで気がつかなかったのか不思議でならない。

俺の頭は寝起き直後のようにぼんやりとしていた。


殺されたのか俺は……

そういえば昨夜は和果奈と一緒だったな……


さっきまでの恐怖心と緊張感が嘘のように消滅していた。