気づいたらそこは沼だった

「ちょっとずつ荷物が増えとるな〜」

「もうすぐ引越しだからちょこちょこね、運んでるよ」

「必要な物とかないん?」

「必要な物…?」

今の季節に着ない服や、ストック等今すぐ必要じゃない物はツバサの家に来る度運んできた。それもあと2回やればいよいよ引越し。ツバサと暮らす日々が始まる。

「そ。買い足して欲しいやつとか。新しくしたいやつとか。」

「って言ってもな〜ツバサの物と私の物で結構揃わない?」

「俺ん家無いもんは全然無いで。って今言っても分からへんか。住み始めて生活すると分かるんか」

そうだね〜って言いながらツバサが用意してくれた私のスペースに荷物を片付ける。

「ところでツバサさん?」

「なんや」

「あなたは今何をしているんですか?」

「漫画読んどる」

「じゃなくて!何故膝枕してるの?」

膝まづいてダンボールから服を取り出してる私の足元で何故か寝てる人。

「暇やから?」

「じゃなくて!片付かないんですけど?」

「まぁまぁ気にすんな。ええやんか」

「漫画を読むならソファの上とかで読んでみては?」

「ここがええの。しかしこの漫画ほんまおもろいな〜」

こりゃダメだ。どれだけ言ってもツバサはどこうとしない。仕方なく膝の上にツバサを乗せたまま作業を続けることに。

「ツバサ?私起き上がりたいんだけど」

ダンボールから全て取りだし、畳直しやハンガーに掛け直ししたので、閉まったり掛けたりしたくて起き上がりたい。

「まだええで」

「なにがいいの?」

「ゆっくりしたらええやん。ほら、アイリもそんな急がんと寝転がったらええやん」