気づいたらそこは沼だった

ツバサのいい所は良くも悪くもストレートに言ってくれる所なんだけど、こうサラッと言われちゃうと私の感情が追いつかなくて忙しい。でも当の本人は

「なにがあかんや?思っとること言うとるだけやろ」

「ストレート過ぎると反応に困るんだって」

「ほれ、似合うやんか」

付けて貰ったブレスレットはシルバーで細身ですごく可愛い。

「ありがとう、可愛いねこれ。本当にありがとう」

「それ実はお揃いやねん」

「えっ?」

「ちょっと待ってろ」

戻ってきたツバサの手元には同じ箱が。

「俺は金色にしたけど」

そう言って箱の中から取りだし流れるように手首に付ける。

「かっこいい!やっぱ金色似合うね」

「当たり前やろ俺の色なんやから。」

ドヤ顔で言うツバサは今日も絶好調で可愛くてかっこよくて。そして

「飯食った?食ってへんなら何か頼むけど」

優しい。いつも私を優先してくれる。

「食べてきたよ。ツバサは?ご飯食べた?」

「飯食う企画だったから食ってきたで。荷造りは終わった?」

「後は最終確認って所。ある程度は詰めたよ」

「ほな風呂入る?」

うーんと悩んでから時間も時間だし、明日から旅行だから早めに寝ときたいので、お風呂に入ろうと脱衣場に向かう。私一人で向かってたはずが後ろからトコトコ付いてきた人が。

「ツバサも一緒に入るの?」

「だってもうやることあらへんからな」

いや、可愛いけど。可愛いんだけど。

「そんなドヤ顔で言うことかな?そして一緒に入らないとダメ?」

「何をごちゃごちゃ言うてんねん。さっさと入るぞ」

主導権はどう考えてもツバサなので、私は大人しく従う。そうするとツバサはご満悦そうに笑う。それを見て私は可愛いと思うから結果これでいいのかな。