「涼太」
私は、人をかき分け彼氏の前に、駆け寄った。
「えっ、由真」
涼太は、気まずいように頭をかいた。
隣りには、私の知らない女の子が、私の顔をじっと見ていた。
たしかに、女の子なんだけど…
ん?小学生にみえるほど。
涼太に妹いないし。
まさかの、ロリコン系?!
切り出したのは、女の子だった。
「この人、誰?」
「由真は、俺の…」
涼太は黙ってしまった。
なんで黙るの?
私は彼女じゃないの?
自然と涙が溢れて
「涼太なんて大嫌い。さよなら」
そう大声で叫ぶと、私はその場から
逃げるように去った。
後ろから、何か叫ぶ涼太の声が聞こえたけど。あかりのこと置いて来ちゃった。
最低だ。私。
怖くて逃げちゃった。
家に帰る気になれなくて、映画館近くにある、公園のベンチに、ひとり座って反省会。
公園には、カップルや家族連れが楽しそうに笑っていて、せつなくなった。
その時、スマホの着信が。
涼太だった。
(別れ話だよね、やっぱり)
(逃げない!)
「もしもし」
私は覚悟を決めた。
「今、どこにいるの」
「映画館の横の噴水の近くのベンチにいる」
「すぐ行くから」
電話は切れた。
ほんとに聞けるだろうか?
別れ話。
すごく憂鬱な気分…


