「そちら、、、あ、えーっと名前、、、」



「加野です。」
首からかけた社員証を見せてくれる。



「加野さんも今日は遅めのお昼ですよね?お忙しいですね。」



「今動いてる作品が大変で...今日も色々トラブルがあって...」




「そうなんですね...スタッフさんも本当大変ですね。お疲れ様です。ご飯の時間だけでもゆっくりしてくださいね!あ、そうだ甘いもの好きですか?」




「はい、大好きです!」




「これ、良かったら...」


さっき試作したフレンチトーストを包んで渡す。



「今、忙しくてもパッと食べれる軽食も新作を色々考えてて、甘いものも良いかなぁって試作してるんです。お仕事の合間にでも食べてください!」



「良いんですか?ありがとうございます。また感想言いますね!」



話しているうちに定食ができて加野さんに渡す。



「じゃあ残りのお仕事も頑張ってください。」



「はい、佐藤さんも。」



「ありがとうございます。」



よし、栄養士室に戻って
さっきの試作のレシピもまとめとかなきゃ。
キッチンを出て栄養士室の自分の机に座る。



ガラス張りでカフェテリアの様子がうかがえるこの席は結構お気に入りだったりする。



さっきの加野さんがハンバーグ定食を美味しそうに食べているところが見えた。



くしゃっと笑う表情に心が持っていかれそうになる。



だめだ、仕事仕事。
遅番は23時までだからまだ始まったばかりだ。



加野さんから視線をはずし試作のレシピ起こしに集中した。