声のする方を見ると、180cmはあるであろう長身で黒髪の男性が立っていた。


手にはハンバーグ定食。


よかった。
前後入れ替わって、提供してしまっただけなのね。



「申し訳ありません。ありがとうございます。」



声をかけてくれた男性にバラエティー定食を渡し、
両方に謝罪してことなきを得た。



安心してキッチン内へ戻るとミスした後藤さんが
駆け寄ってきて、



「違うんです。取り違えたって声をかけてくださった男性の方、確かにハンバーグ定食を頼んでありました。恐らく庇ってくださったのだと、、、」



えええ、大変!!!
慌てて先程の男性を探す。 


「あ、いた。」


丁度食べ始められたとこだった。



「お食事中、大変申し訳ありません。本当はハンバーグ定食を頼まれていたんですよね?庇って頂いて、、、」



「いやいや、いいんです。どっちも美味しそうで迷ってたところだったので!こっちもとても美味しいですよ。」



その男性は優しい笑顔をこちらに向けて話してくれた。


「ありがとうございます。本当に助かりました。」



この男性の気遣いに助けられた1日だった。