辺りを見回すと新はまだ商品受け取り口の
カウンターにいた。



しかも、凛花さんがキッチン内から出てきて
新と楽しそうに話している。



「っあいつ....」



人の彼女を何だと思ってるんだ。

仕事中の彼女に遠慮して喋りかけない
俺の気遣いを無視して抜け駆けしやがって。


その状況に気づいたらしいメンバーの真人が
「ちょっと、伊吹さん!いいんすか??
新さん伊吹さんの彼女に手出してますけど!!」



「いいわけないだろ!絶対許さん。」


 
新が定食を持って俺らの席に
戻ってきた。


「いや〜ごめん遅くなって!」



俺は思いっきり新を睨みつける。



「伊吹どうしたんだよ?」



「いや、どーしたもこーしたも
新さんのせいっすよ。彼女に話しかけるから。」


俺の気持ちを光瑠が代弁してくれる。


「ちょっと話しただけだろ?
そんな怒るなって〜笑」


ヘラヘラした態度の新に俺は
益々イライラして無言で食事にがっついた。


「こら、お前たちせっかくメンバー揃って
飯食えるのに雰囲気悪くするなよ〜。」


悟さんにそう言われて渋々新と仲直り。


凛花さんのことになると
自分の気持ちをコントロールできなくなるのが
俺のダメなところだな。


もう1度キッチン内で忙しそうに動く
凛花さんに目を向ける。


一刻も早く凛花さんとの時間を
過ごせますように。


そう願って、午後からの仕事に向けて
気合いを入れた。