うそ。そんな風に思ってもらえてたなんて。

えっと、何ていえば...



「急にこんなこと言われても困りますよね。まだ、どうしてほしいとかそんなんじゃないんです。たまに連絡返してくれたり、お会いできた時少しでもお話しできたらそれで十分なので...その中で俺のことも少しずつ知ってもらえれば!」



「だめですか??」



真剣な声でそう言われ、私ももっと加野さんを知りたい。そう思った。


「全然だめじゃないです。こちらこそ宜しくお願いします!」



それからたわいもない話をたくさんした。


会話のテンポも、
耳に届く低音も心地よくて気付けば電話し始めてから3時間が経過していた。



「え、もうこんな時間!加野さん明日お仕事大丈夫ですか??」



「うわっほんとだ!俺は全然大丈夫です!!佐藤さんこそ遅くまで付き合わせてしまってすみません。お話できてとっても楽しかったです!」



「私も楽しかったです。時間過ぎるのあっという間でした笑」



本当に冗談抜きで。
こんなに長電話したのも、
こんなにワクワクした夜も、
初めてだった。



「あの、最後に1つお願いがあって...凛花さんって呼んでも...良いですか?...あっ、もちろん職場では佐藤さんって呼びますよ!!!」



「そんな男の人に呼ばれたことないのでほんっと恥ずかしいんですけど...まぁ、はい。じゃあそれで笑」


「やった!俺のことも名前で呼んでくださいね!俺、年下なんで敬語もなしで笑」



「え、それは厳しいです!」



「一生のお願いです!!笑笑」


必死にお願いしてくる加野さん。


「分かりました。じゃあ伊吹くんで。」


「....いいっすね。笑 嬉しいです!!」


「明日...って言っても、もう日付越えたから今日か!凛花さん休みなら会えないんですねぇ...寂しいです。」


「やめてください。...またすぐ会えますよ。」



「っっっ可愛いです。まだ切りたくないけど、寝られなくなっちゃうんでこの辺でやめときます笑」


「凛花さん、おやすみなさい。」


「お仕事頑張ってください!おやすみなさい。」



電話の切れる音がして、いつもの静かな空間に戻る。


さ、寝よ。



幸せな気持ちのまま眠りについた。