ねぇ由紀どうして居なくなってしまったの。

どうして私の傍にいてくれなかったの。

記憶がなくたって君が喋れなくなったって
動けなくたって私には君がいてくれれば
良かったの。

世の中には全てを欲しがる人もいるけれど

私には必要ないの。

ダイヤの指輪もルビーのネックレスも

どれも君には代えがたくて

どれも君に劣るんだ。

どんな煌びやかな宝石だって

時が経てば硝子玉だけれど

私の中の記憶はいつだって
輝いていているの。

ねぇ由紀どうして
いなくなったの。

どうして私の未練を許してしまうの

ねぇ神様。どうして
全てを持っていってくれなかったの。

中途半端に未練だけを残すのを許したの。

あの日からずっと解けない雪に足を取られて
動けないんだ。

君の残した雪がまだ溶けてはくれないんだ。

辺り一面に雪がいて
君の匂いがして

何度も君の面影を思い出すよ。

君が恋しくてそこから1歩も動けなくて

このままずっと冷たい雪の中で
凍えていたいな。

埋もれていく雪の中には確かに君が居るから。

なんの色もついてない真っ白な景色だとしても君の匂いと君がいるから。

君が置いていったものが私の全てになってしまったから。