少ししてから、朝御飯を食べ忘れたことにようやく気付いた。
「海を見たら帰ろー?」
まつりが言い、ぼくは、朝御飯はいいのかと言った。
「きみが、ご飯が食べたいなんて言い出すとはおもわなかったな」
目を丸くしてこちらを見てから、そいつは、ばさり、と音を立ててニット風の上着を着なおす。
まつりが楽しそうに食べているのが好きなのだがぼくは言わない。
右側の道路で、トラックから降りてきたお兄さんとすれ違う。春だし引っ越しの時期なんだろう。
まつりに、好きだと言われたいと思った。
ちゃんともう一度聞けたらぼくは笑ってありがとうができるのだろうか。
『大事なもの』は、いつも壊れる。
『大好きなもの』は、いつか、壊れる。
でも、問題は壊れることじゃない。大事なものほど、すぐに見失いそうで、手に入る気がしないってこと。
(いや……違うか)
手にしてはならないんじゃないか。
「どこかに入る?」
まつりがそっけなく聞いてくる。ぼくは首をかしげて返事の代わりにする。
「んー。わかんないか」
「お店より」
じっとまつりを見つめると、目線を合わせて「なにか買って、外で食べる?」と聞いてきた。
通じたらしい。
店で食べるのはなんとなく不安になる。
ただでさえ、そばで、よそ行きの顔で店員に接する愛想のいい顔を見ていると、なんか疎外感がすごいのだ。
外食でメニューを決めるときのまつりは、心なしか嬉しそうだし。
「ま、外食もいいけどね。きみが、不安そうな顔で見つめてくると、ぞくぞくす――」
無視して適当に右に向かって歩く。まつりが追い付いてきて横からぼくを捕獲した。
「……怒ってる?」
本当に不安なのに。
ぞくぞくして喜ばれてると思うと複雑すぎる。
まつりが機嫌がいいのは嬉しいが。
「ぼくが悲しむのが好きなら、意地でもお前の前では悲しまない」
「もー、ごめんってば。悲しむのが好きなわけじゃ」
「黙れ」
「普段はあまり甘えてくれないから、頼ってくれるなぁとか思ったら、きゅんきゅんしちゃって」
じとっと睨んでいると、頬に軽く口付けて、コンビニはこっちだよ、と目の前の横断歩道を指差す。今は一人で歩ける場所。
なのに、まつりは戻ってきて、わざわざぼくの前を歩いてくる。
どっ、どっ、と心臓がやたらと速く音を立てる。苦しい。
「ん……はっ……」
苦しい。息が、苦しい。ぼくがついて来なくなったのを気にしてか、まつりが振り向いてやってくる。
「どうした、調子悪い?」
怖くて、まともに、そいつを見ることが出来ない。思わず顔を覆ってしまう。
「う……ぁ」
しゃがみこもうとすると、慌てたように近づいてきて、ぼくを抱えてその場から引き剥がす。
「危ないよ」
「っ、はぁ……っ……」
なぜだか息が、うまく出来ない。
「見、るな」
地面に下ろされて踞って言うと、まつりは不思議そうにそばにしゃがんだ。
「わわ、無理をさせたのがよくなかったかな。どうしよう」
「苦しい」
なんとかそう言って、ふらっと歩く。途中でよろけてしまうと抱き止められた。
「大丈夫?」
「すごく、苦しい」
必死に息をしていると、背中をさすられる。
興味本意だった。
最初は、こいつの孤独とぼくの孤独は似てるんじゃないかっていうそんな軽い気持ちであの屋敷に向かって、それで。
「出会わなきゃ、よかったかもな」
「え?」
まつりが、目を丸くする。ぼくは、そいつにぎゅっとしがみついた。
「……お前と会ってはならなかったかも、しれない」
屋敷が壊れたのも、あいつが壊れてたのも。
「そしたら、こんなに」
苦しくなかったのかな。普通の、平凡な暮らしがしていたかった。
けど、二人で居るとなぜか事件ばかり起きる。いくら解決に努めても心には深い傷跡しか残らない。たまに、もう解きたくないとさえ思う。
息が、出来なくなりそうだ。
「会わないのも苦しい。でも、会っても、辛いことばっかりだ……っ」
まつりは、何も言わない。ただぽんぽんと、優しく背中をなでてくれる。
「ごめん、きみを巻き込んでごめんね……
こんなつもりじゃ無かった。きみの記憶を、重荷みたいなものにするつもりは、無かったんだよ」
「ぼくだって」
原因もわからない何かに縛られて、うまく生きられずにつらかっただけ。まつりに会えば、寂しくなくなるかもって、そう思っていただけだったのだ。
「辛いなら。きみは、普通に戻っていいんだよ」
まつりは、寂しそうに笑う。
「きみはただ、そこに居たから、助けてくれただけなんだろう?」
「うん……」
ゆっくり立ち上がり、歩く。
確かに最初は、なんとなくだった。そこに居たから、だった。コンビニに寄ってみた後で結局お弁当屋さんで鮭弁当を二つ買って、また歩く。
道路に車が、一台、二台と通り過ぎる。ときどきデコボコしてる歩道は、ゆるやかな坂道になっていた。
「まつりも、きみが大事だからね。もしも望むのなら、きっと別れた方がいい」
あの『箱』の中に居た、そのときを、思い出す。そいつは、ぼくと別れることを望んでいた。ぼくのために。
「心が、戻って来ない」
ぽつりと、溢す。
そういや、あのときも欠けてたけれど少しは、満たされたはずだったのに。また、無くした。
「え?」
「全く戻って来ない。最近は、怖いとか、吐きそうとか、そんなものしか無い」
まつりは、悲しそうに眉を下げる。
「事件とか、解決した途端に人って急に、信用出来ないものになるんだ」
急に優しくなる人。
急につめたくする人。
こわい。
こわ、い。
□
「な、なと……」
彼は、ときどき無感情な頃に戻る。事件が終わる後やなにか思い出したときだ。
「なにか、そんなに、辛かったの?」
彼は、答えない。
心が強いわけでもなくて弱いにしても、あまりに弱い。
辛さが許容量を越えたときは、心をその分無くせば、痛くならない。
それは、まつりがたまに記憶をなくすのと似ている。だからたぶん、また、無くしてしまった。
彼の負担は、心を無くすことで軽減されているが、それでも今まではまつりが愛情を与えて補ってきたつもりだった。
けれど。
それを越えてしまうときもあって。最近の仕事はあまりに、許容範囲を越えていたようだった。
「楽しいとかも、あるよ。けど、ね。
前よりもときどき、感じなくなっちゃったんだ、『あれ? なにやってるっけ』って我に返って。そしたら、すごく、むなしくてね」
「さっきまで――は」
彼は、ぎこちなく笑う。少し歩くと、海岸が見えてきた。
「うん、すごく楽しいよ。でも、きっと、帰ったら何も、感じなくなる気がするんだ。だから『楽しい』のうちに楽しまなきゃ!」
きっと、一人になった途端、彼の心はまた、無くなるのだろう。けれど、信頼すべき人も居なくて一人にしかならない。
「食べても味がしないときが増えて。そんなときなんかもう、どうでもいい気がする」
「き、みは」
「なんか今更、普通の気持ちに戻ることさえも、うまく出来なくて」
こんなに空っぽになるなんて、思わなかったんだ。彼は、楽しそうに言う。
「まつりに、いつもより甘えてるのも、そのせいかもしれない。
なんだかさ、空っぽで」
ふと我にかえるのが怖い。
「いいんだよ。誰も信じなくたって」
「……」
「信じないってことに罪悪感があるんだろうけど別に、信じて良いことがあるばかりでもないからね。きみはむしろ、もう少し怒るべきだし、許す必要もない」
「……」
彼は黙ったまま歩いていく。
「一生、信用しなくても?」
「信用しなくて当然のことをされたなら、する必要は全くないね」
「……ほんとに?」
彼を抱き上げる。軽い。そういえば、彼は最近、またあまり食欲が無かったか。理由はいつか聞けるだろうか。
「あ、でも。およめさんになってくれるんでしょ?」
囁いてみる。
彼は、かあっと赤くなって、俯いてしまう。
「わずらわしいものや、家柄とは無縁に、普通の温かい家庭を作ろーね」
「……ん」
安心した。恥ずかしそうにはにかむ彼は、やっぱり、少しは、感情を残している。
喪失しかけている、だけで。
「で、赤ちゃんは、何人欲しい?」
「……」
黙った。あれれ?
「お前は……」
彼はあきれたような目をしてまつりから降りて歩き出す。
少しして、砂浜に向かう広い階段があったので、そこに腰かけた。
まつりも同じように左側に座る。
「ななと」
「ん?」
お弁当を、二人ぶん、それぞれ出しながら、まつりは呼んでみる。
「まつりといるのつらい?」
彼は、首を横に振る。
そして、でも、と言った。
「……なんか最近、お前といたら身体がおかしいんだ。心臓が、どっ、どっ、って、変に脈打ってて、汗が出たりして」
「なるほど」
「病気、かな」
「んーある意味、ね」
彼は少しだけ、不満そうに唇を尖らせる。
□
「なに、それ」
「自分でわからないと、こればかりは、だめなんだよ?」
じっとそいつを見上げる。優しい目をしていた。そうか、これは病なのか。でもどうして、自分でわからないとだめなのだろう?
これを、知ってるなら、ヒントくらいくれたっていいのに。
「ぼくは、死んでしまう?」
「んーん、死なない」
不安になっていると、口に玉子焼きをつっこまれた。
「ななとは、笑ってて」
もぐもぐ、口を動かす。美味しい。
少しだけ和んだ。
「はい……」
あー、と口を開けられて、今度はブロッコリーをあげてみると、不満そうにされた。
「なんだ、好ききらいか?」
「そこは『食べるならぼくも』っていう」
「ならないならない」
じとーっとしているまつりを無視して、ぼくはお弁当を食べる。
美味しい。
外で食べる、こういう意味では、わりと好きな方だ。お店という意味だと苦手だけど、のんびり外にいるのは嫌いじゃない。
「大体昨日、散々食べたでしょ……」
恥ずかしくなって目を逸らしながら言うと、なぜだかまつりも照れた。
「なんでお前まで赤くなる」
「え、いや……それは」
黙ってうつむいて、鮭を細かくし始めるまつりに従い、ぼくも自分の食事をする。眼前では、遠くからの波の音が細やかに聞こえている。
なんとなく今が、永遠に続けばいいような気さえした。
愛しい。苦しい。悲しい。愛しい。悲しい。
まつりが、そばにいる。ぼくと一緒にいる。
好きだ。だから。
知りたくなかったのに。胸がぎゅっと詰まる思いだった。死んでしまいたいとさえ思ってしまう痛みだった。なのに、少しだけ触れていたいような悲しみだった。
ぼくたちは、互いの存在を認めていることでしか、地球への存在価値を、理解出来ない。
社会との繋がりを、理解できない。
他者に触れる根拠を、許容できない。
潰したいと、消したいと、どうしても勝ちたいと、誰からも傷付けられ続ける存在。差別の対象。
孤独と、絶望、罪悪感から誰かが這い上がろうとすることでようやく得たなにかを、誰かがわざわざ突き飛ばすのは、それをしない自分を憎んでいるからなのだろうか。
どのみち、這い上がろうが這い上がらなかろうが、辛いことは、無くなりはしないのだけれど。
まつりは幼い頃から、友達に捨てられ、家族から批難され、仕事の成果を横から浚われる、そんな毎日の中で、人間関係を覚え続けることがうまくできなくなってしまったらしい。ちなみにこのあたりは少しだけ、本編に出ている。
恋人だった、とか友達だった、とか、前提があるからこそ、裏切られた日には、より傷が深まるだろう。
たぶん、それだけ彼らが大事だったはずなのに。まつりは、忘れることを選んだ。認識を破壊する方を選んだ。
なぜ、彼らを責めたりしなかったのだろう。
なぜ、誰かに話をしなかったのか。
それは、きっと、無意味だから。
まつりの「気持ち」がわかる人は居なかったから。
そいつは、ぼくのこともいつかわすれるだろう。好きになればなるほど、痛みは増すのだから。
失うのは怖い。
離れていくのが怖い。
何よりも先に来てしまう感情がきっと、それなのだろう。
「嫌だ、な……」
「ななと?」
うかがうように、呼ばれた。ぼくはただ黙って弁当を掻き込んだ。
苦しい。
他人についてなんて、まともに考えたことがなかったし、みんな違う人だった。
だから、まつりへの気持ちは本当はたぶん『恋』程度じゃ、収まらない。そんなものじゃないのだ。
家族のように、身体の一部のように、人生のすべてみたいに。別れるとか居なくなるという選択肢が無かったりする。
あまりにも馴染み過ぎていて、もう、よくわからない。
誰も肯定してくれなかった何かを、唯一肯定してくれた、という価値は、単に惹かれた程度のものではなくて。
(自分の全てを世界の何もかもを懸けてしまえる程の――――)
むしゃむしゃ、と無邪気に食事をしながら、ぼくは考える。
とてつもなく黒く重く濁ったその感情のこと。
「好きだよ」と口にする度に、自分が汚れていると感じて、嫌悪する。お前の執着は、そんなに可愛く綺麗なもんじゃないだろうと笑われているみたいで、不快になる。
「側にいなきゃ許さない」とでも言うかのようなそれを、知られたら、きっと怖がらせてしまう。
劣等そのもの。
弱さそのもの。
弱味に漬け込んだみたいで。弱味を漬け込まれたみたいで。違うのに。
刷り込みみたいで。
刷り込んでいくみたいで。違うのに。違わなくても、いいのに。違うとしても、いい。違わない? だったら?ずるい関係?同じような誰かがいたら?考えても無駄だよそんなの。能力が好きなだけじゃない?違うよ。いや、好きだけど。好きなだけじゃない。中身が無い。中身ってなに?
孤独?孤独じゃないよ。ごっこ遊びみたいな。
違うよ。遊びだと言われてもいいくらいに真剣なんだ。珍しいからでしょう。最初はそうじゃない部分に惹かれていたんだ。異様なんだ。特別?特別。許されたい?どうしてきれいじゃなきゃだめなの?きれいじゃないと。許せなくなるから。嫉妬で収まる自信がないんだ。好き?好きじゃない?
なんでもいいじゃない。
感情の落ち着く場所が、わからない。
ほら。
ぼくは、とても、醜い。
好意、なんて言葉で止まれる優しいものを向ける余裕が無いんだよ。
察してよ。
知らなくていいよ。
「あーん」
「……」
まつりは、勝手に黙っているぼくに、おひたしを食べさせている。
「もー。ちゃんと食べないとー」
……うう。
味はいいけど、うまく噛めなくて何回か吐き出すくらいには苦手だし、まつりには、お年寄りかよと言われたので、うまい食べ方を模索する食べ物である。
「まつり」
「ん?」
「ぼくは、恋って、わかんないんだ」
一緒に居たい、で済む余裕さえなくて、近づきたい、で終わる余裕もなくて、さよなら、でさよならする余裕もなくて、なにひとつ許せない人間になってしまいそうな自分が恐ろしくて。嫉妬はしないけど瞬時に破壊してしまいそう。そんな感じの。
おかしいなにか。
ぼくを保証してよ。
何もかも、ぼくは、。
なにかに、飲まれそうで。
ドキドキ、しない。
ぞわぞわして。
苦しくて。
愛しくて。
重たくて、ひたすら、醜い。
もぐもぐ、と口を動かす。まつりは、海にカメラを向けている。
「なにしてんの?」
「夏々都くんとの思い出」
えへへ、とまつりは幸せそうに笑う。そのたびにずきん、と胸が痛くなる。
「まつりは、幸せ?」
遠くの方で、波が揺れている。
「うんっ!」
ぼくは、ただ、ぼーっとしてしまう。
どうしたらいいのだろう。どうして、こんな感情を抱いているのだろう。
これが、恋で済むものだとは思わなかった。
あまりにも自分のため。あまりにも、大事にしすぎて。きっと、当人のことさえ見失いそうで。
だから。
「夏々都は幸せかな?」
まつりに問い返されて、少し返答に戸惑ったけれど、どうにか言葉にする。
「うん。幸せだよ」
まつりを、壊さなくて済む人間でいられるだろうか。それさえも好きだと、言ってくれるのだろうか。お前が思う何倍も、ぼくは、きれいじゃないんだ。だから。
幸せが、崩れそうで、怖い。
「とっても、幸せ」
言い聞かせるように口にする。踏み込まないように口にする。
なにもかもが欲しい、なんて。
それは、漫画で見るような、年頃のクラスメイトが見ていたようなセクシャルな欲では無かった。
それは、アニメで見たような、日々がキラキラ輝いた欲では無かった。
それは、小説で読んだような、甘い響きではなかった。
それは、何もかもを支配されるような、何もかもを支配しているような。どうにもならない関係。好き、どころじゃない。焦がれているどころじゃない。
コンプレックスにも値するくらいの独占欲。
じいっと、写真を撮ってるまつりを見上げる。
なんで、海なんか見てるんだろう。
なんで、カメラなんか触ってるの。
ぼくよりも、写真を見るの。
「ねぇ……」
まつりが、ふっと写真を撮る手を止めた。
それからこっちを向く。
「どうした?」
何も答えずに、寄りかかる。精一杯甘えている、つもり。
「ふふ。お弁当、もうお腹いっぱいかな」
まつりはぼくを寄りかからせたまま、手元の袋や箱をまとめて、片付ける。それとは別に持っているお土産の袋は、少し重たいから、帰りは分けて持たなくちゃ。
「眠くなった?」
よしよし、と頭を撫でられる。目を細めていたらなぜだか少し泣きそうになってくる。
そりゃあ自分が綺麗な人間だとは思ってない。
でも、大事な誰かの前でくらいは、ただのほほんと笑っているだけの穏やかな自分で居たいと思うのだ。
だから、全て押し込めて、ただ、甘えているだけに見えるように。
まつりに触れながら、ぼくは自分の存在している意味を考える。
「もう少し、歩くからさ、ちょっと頑張ろうね」
まつりは、ぽんぽん、とぼくの背中をさする。
柔らかい声。あたたかい。
「まつり……まつり……」
「なあに?」
「行かないで……」
醜いぼくを、知らないで。ずっと。
きれいなままで、覚えてほしくて。
寂しくて、寂しかった。
「ふふ。だから、どこにも行かないよー。ずっと一緒」
まつりは笑う。
幸せそうに。
そのたびに、ぼくは、あの頃の非力な子どもに戻ったような気持ちになって、甘えてしまうから。だから、その笑顔を直視出来なかった。
ずっと、甘えていたい。
でも、成長しなくちゃって気持ちもある。
だけど。
怖い。
成長したら、要らなくなる?
「夏々都?」
「っ……」
まつりはきっと、ぼくがただの子どもだと思っている。だから、自分から求めたりしないって。
ぎゅう、と抱きついていると、今日は一段と可愛いなと上機嫌で、ぼくを包み込んだ。



