甘い災厄


「なななな、なんのこと、かな?」
ぼくがあわあわと慌てながら聞くと、まつりはくすくす笑って囁いてくる。
「思春期のお多感な夏々都くん、期待しちゃってたんだ。あらあら」

ぼくは黙ってそいつの足を踏もうとしたが、さっと足を引かれて避けられてしまう。
うぅ……

「かーわいいー」

バカにしてる様子のまつりに腹が立っているうちに、まつりはさっさとレジに向かい……かけて戻ってくる。
そして。
「ねっ、それも買おっか?」
わざわざ聞いてきた。
ぼくは、黙ってまつりを睨み付けた。