授業中で誰もいない廊下を好きな人と二人で歩く。



晴人くんは辛いのに不謹慎だけど、すごく嬉しい。



「…なんでお前はそんなに嬉しそうなの、ゴホッ」



「晴人くんと二人きりだから!」




それに今だって、ふらふらしてる晴人くんを支えさせてもらってる。



こんなに密着したの初めて。




「はぁ、」



特大のため息だって、愛おしい。




「保健室着いたよ!」



もう着いちゃった。…どさくさに紛れて遠回りすればよかった。



いや、いくなんでもそれはダメだよね!




「もう大丈夫だから、」




「わかった!無理は禁物だよ!」




そう言って晴人くんから手を離す。



少し名残惜しい。




小さく手を振って、教室に戻ろうと回れ右をする。




「森本」




「ん?」



振り返って声の方を見る。




「…色々ありがと、」




それだけ言い残して、保健室に入って行った。



「っ、…」


何あれ。ずるいよ。



うるさく鳴る鼓動。




脳内でリピートされる声に、顔が真っ赤になっていくのがわかる。




もっと好きになっちゃうよ。