推しとか恋とか青春とか。

足元に転がる石を軽く蹴りながら答えると、学君がクスクスと笑った。


笑われたことを不思議に思い顔を上げる。



「もしかして彼方、暇人?」


「っ、あえて暇にしてるのっ。普段はとっても忙しいんだからね?」



なんて嘘、どうしてつく必要があったんだろう?


それにこんな嘘…絶対見抜かれるのに。



「学君は?これからどこ行くの?」


「図書館。勉強だよ」


「…さすがだね。夏休みなのに信じられない」


「夏休みだから勉強するんだよ」



と答えた学君とはとても分かり合えそうにない。


学年一位なだけあるね。


紗枝もとんでもない相手をライバル視してるもんだ。



「彼方も来る?図書館」