推しとか恋とか青春とか。

学君の肩が離れた時、紗枝の声が耳に届いた。



「塾だから先に帰る」



そう言って立ち上がった紗枝と目が合うと、何かを訴えてきているようで、でもそれが何か分からないまま紗枝に手を振った。


…何を訴えてきてた?


ふと真留君に視線を向けると、珍しく机に伏せた状態で眠っていた。


真留君がこんなこと…滅多にないんだけどな。


そういえば、この時間口数も少なかったような…?


もしかして体調悪い?



「彼方が苦手な科目は数学だけ?他にもあるなら教えるけど」


「え?いいの?…いや、でも悪いよ。学君も勉強あるだろうし、後は自力でなんとか!」



これ以上学君の時間を奪える訳ない。


それに、わたしのせいで成績落とされでもしたら……


って学君がそれくらいで成績落とす訳もないだろうけどさ。