推しとか恋とか青春とか。

「がっくんさすがだね」



と隣の席から小声で声を掛けてきたのは、


紫波真留(しばまる)君。



「今日の学君もかっこいいな〜…」



つい本音が漏れてしまったところで5限目終了のチャイムが鳴った。



「彼方、ちゃんと持って来るんだぞ」



先生は教室を出て行く手前、やや大きめの声でわたしに向けてそう吐いた。


1回言われれば十分なのに、そんなに何回も言わないでよ…恥ずかしい。


チラッと学君を見ると、先生の声に反応してか、わたしを見ていたようで目が合ってしまった。


……恥ずかしい…ばかって絶対思われた。



「ゆに、後で僕のノート見せてあげるね」



と真留君の天使の声に涙しそうになる。