その日の夕方


私の親は共働きで、その上あまり子供に興味がなかった。

特に暴力を振るわれたりとかはされたことは無いけど小さい時からひとりが多かったから、あまり気にしていなかった。


だから、今回救急車に運ばれても、親は病室に来ていない。




ガラガラ…


今日は病院にお泊まりと言われたので友達からの心配のメールに返信していたら、先生が入ってきた。



(ごめんね、ちょっとお話したいんだけど。)


そう言って私のベッドの横の椅子に座った。


そうして先生は私の目を見てゆっくりと話出した。



(琴ちゃんのご両親にお電話したんだけど、今すぐ来れないって言われたんだ。ご両親はなんのお仕事してるの?)



いつか聞かれると思ってたこの質問。これまで学校の先生にも何回か言われたことがあった。



私は素直に答えた。



「いつもこうなんです。お父さんは会社経営してて、お母さんは今外国に出張中です。小さい時からいつもこうなので気にしないでください!」



私は作り笑顔で誤魔化した


小学校までは自分の中で割り切っていたが、中学生になって周りの友達が、お母さんの話とかをしているのを聞くと、実際のところ自分をごまかせなくなっていた。



(そっかぁ、わかった。じゃあ今はとりあえず琴ちゃんにだけお話するね。いい?)


先生はあまり深掘りせず話を進めてくれた。私にとってはそれが一番嬉しい反応なのだ。

いちいち 可哀想に、とか言われるのが1番嫌い。



「はい。お願いします。」



そう言うと先生は話し始めた。


(じゃあ、まず琴ちゃんの体のことについてね。琴ちゃんが倒れちゃったのは貧血のせい。これまでにも目眩がしたりしたことあったんじゃないかな?

だから琴ちゃんが眠っている間に血液検査したんだけどね、ちょっと数値が気になったから、明日検査したいんだ。)



「…え、そうなんですか…」



(ごめんね、驚かせちゃったね。明日ちょっと頑張れる?明日の検査の結果で入院が長引くか決まるかな。)



「…あ、分かりました。」



戸惑いを隠せず小さな声で返事をした。



(ご両親には、許可は貰ったからね。)


「ありがとうございます」


(じゃあ、明日また来るね。おやすみ)



「おやすみなさい。」




私は突然のことにびっくりして、たくさんのことが頭に浮かんだ。


ただの貧血かと思ってたのに…


1人だったから特に考え事をしてしまって、スマホで調べたりもした。