ピッ… ピッ…
電子音が規則正しく聞こえてくる。

誰かに右手を触られている感覚。

重たいまぶたを開けると、白い天井が見えた。


(あら、目さめた!?)


知らない場所に知らない人、思わず起き上がろうとした。


(まだ、起き上がらないでいいのよ。先生呼んでくるから寝転んで待っててね。)






そうだ、教室で目眩がして…!

私はやっと状況を理解した。





コンコン

ガラガラ…



ノックをして誰かが入ってきた。


さっきの看護師さんと先生だ。



(おはよう!目さめた?)


「…あ、はい。」


すごくイケメンな先生が入ってきた。
清潔感があり長身だ。


(どう?頭痛かったり気持ち悪かったりする?)


突然聞かれて、ドキッとした



「あ、頭がちょっと、痛いです。」



咄嗟にこう答えたが、実はかなり痛い。

どうしよう、ちゃんと言わなきゃいけないよね。頭の中でぐるぐると考えていたら、



(わかった。そしたら診察させてね。)




と言って先生が私に近づいてきた。




(じゃあ、服めくってくれる?)



えっ!?
あ、そっか聴診するんだもんね。


先生とは言えど今思春期真っ只中の私には少しのことでもとても恥ずかしかった。


内心テンパっていたが、平然を装い少し服をあげた。



(ごめんね、ちょっと冷たいかも、)




先生はそう言っていたが、全然冷たくなんかなかった。
実はさっき先生が手で一生懸命あっためているのが見えていたのだ。








30秒ほど沈黙が流れた。



(はい、終わったよ。もう下ろしていいからね。)



私は素早くおろした。

絶対に心拍早くなってたよね。
大丈夫かな、何か思ったかな…

ぐるぐると色々考えてしまう。


(あっ!そうだ、挨拶遅れてごめんね。主治医の朝倉樹です。よろしくね。)


突然陽気な声で挨拶をしてきた。


「あっ、よろしくお願いします。」


私は控えめに少し頭を下げてお辞儀した。