先生のおかげ



そんなに呑気にいられるのはそれまでだった。











魚をひとくち食べた瞬間、





「オェェ、…オェぇぇ」




一気に胃から込み上げてきて、さっき食べたものを全て吐き出してしまった、





私はびっくりして、パニックになってしまった。






ど、どうしよう、うぅ、気持ち悪い




もう出るものもないのに胃酸だけが出続ける、






そ、そうだ先生、呼ばなきゃ



カチッ




「せ、先生、オェェ、…はぁ、」




(大丈夫ですか?すぐ先生行きますからね。)




知らない看護師の声に驚いたがそれどころではなかった。





ガラガラ




先生が息を切らして入ってきた。





(ハァ、気持ち悪くなったか、)






「…ウウッ、たすけてっ、」




(よしよし、出るだけ出し続けな。先生ここにいるからな)




先生は私の背中をさすりながらずっと声をかけ続けてくれている。




(大丈夫、大丈夫。すぐ収まるからな。あとちょっと頑張ろうな。)



(すいません。吐き気止めの注射持ってきてくれる?)



朝倉先生がナースコールで看護師に指示をだした。



ガラガラ




(先生、持ってきました。)


(ありがとう、嘔吐物の処理お願い)



(分かりました。)




「…ち、注射、やだ、はぁ、、ウゥ」



(すぐ終わるから、このままずっと気持ち悪いの嫌だろ?)



(じゃあじっとしててね。)



ブスッ




「うっ、、はぁ、はぁ、」



(はい、おしまい。薬すぐきいてくるからね。)




それから2分ぐらい経つと吐き気はだんだん消えていった。



(どう?マシになってきた?)


「…うん、大丈夫。」




(良かった。ちゃんとナースコールして偉かったね。)




(お熱だけ測ろうか、)



そう言って先生は体温計を渡してきた。





ピピッ





(…38.0)



(お熱出てきたね。しんどいね。)



吐き気に必死で熱が出ていたことに気づかなかった。




「…ブルッ、、さむ、い、、」



(…まだ上がるか)


先生が独り言のようにぼそっと呟いた。






(お熱しんどいね。まだ上がりそうだね。)



そう言いながら震える私をさすってくれている。




「ハァ、ゴホッ」