もう、恋なんてしない

「何、してんの?」

冷たい声が後ろから聞こえた。振り返ると、背が高く、顔の整っている男の子が顔を歪ませて立っていた。

「っ!に、二階堂?!」

「よ!染谷。……何、やってんの?」

「そ、それは……」

どうやら二人は知り合いのようだ。私は二階堂と呼ばれた男の子をチラッと見た。

噂で聞いたことがある。とてもかっこよくて、頭脳明晰、運動神経が良く、人当たりが良い。どこも欠点がない完璧な男の子。

「そこの女の子に、告白してたの?」

「ぐっ」

「脅してるようにしか見えなかったんだけど」

「ち、違っ」

「じゃあ、この子の腕の痕、何?」

「……」

男の子は、私の腕の痕を掴み見て、顔を歪めた。染谷くんは黙っている。

「女子に、こんなことするなんてさ。男として最低じゃない?」

「……」

「本当はさ、こんなこと言いたくないんだけど」

二階堂くんは、染谷くんのことを見て、

「ダッサいよ。顔はそこそこイケてんのにさ、女子にこんなことしちゃったら、ダメだよね?」

「っっ!る、せ」

「え?」

染谷くんは私のことを睨んできた。

「るっせんだよ!大体、この女が俺の告白をOKしなかったのが悪いんだろ?!対して抵抗はしねーし!それに、俺が二階堂にそんなこと言われる必要あるか?!女がどうとか、お前、女じゃねーだろーが!そうやって女に優しくしてモテまくってるくせに!それに、」

「やめとけよ」

静かな声が響いた。二階堂くんの声だ。

「お前自身の価値を下げることになるぞ」

二階堂くんはそう言って、私の手をとった。

「星名さん、だっけ?行こうか」

「で、でもっ」

「あいつなら大丈夫。自分の何が悪かったのか分析するのがあいつだからさ」

「は、はい…」

私は、二階堂くんに手を引かれて、帰り道を歩いていった。