もう、恋なんてしない

「あはは。私は、彼氏なんて作る気ないよ?前にも言ったじゃん」

「そうだけどさ~」

結衣の気持ちはよく分かる。でも、本当に私は恋をするつもりなんてないし、そもそも彼氏なんて作る気もない。

「丈もでしょ?楓に彼氏が出来るまで、彼女は作らないんでしょ?」

「あぁ。俺は楓の一番の幼馴染みだからな!」

「え~?私が一番の幼馴染みだし~」

「うるせ~。お前にはもう彼氏がいるだろうが!」

「じゃあ、早く彼女作れば?!そんで、あたしに自慢しなさい!」

「まあまあ、二人とも。私は大丈夫だよ。丈は部活始まっちゃうよ?結衣はこたくんとデートでしょ?行ってきな」

「「えー?分かった」」

「行ってらっしゃい」

私は二人を送り届けて、学校を出た。

「ねえ。星名さん」

「はい?」

帰り道の坂に立っていたのは先程会ったばかりの染谷くんだ。

「どうしたの?染谷くん。学級委員の仕事は?」

「星名さんはさ、どうして、俺の告白を断ったの?俺のどこがいけなかったの?」

「……。私は、彼氏なんて作る気がないの」

「作る気がない?」

「う、うん」

染谷くんの目が怖い。

「星名さんのこと、ずーっと見てきたんだ。なのに、俺が断られる理由なんてあるかな?」

「本当に私は作る気がないの。だから、染谷くんの告白を断ったの」

私は、染谷くんの前を通り過ぎようとしたその時だった。

パシッ!

「……え?」

「星名さん。俺は本当に星名さんのことが好きなんだ。こんなに君のこと好いてくれる人は早々現れないよ?いいの?」

染谷くんは、私の腕を掴んできて、そう言った。どんどん力が強くなっていく。

「俺、星名さんのこと、諦めきれない。お願いだ。俺と付き合ってくれ!お願い!」

どんどん強くなっていく。

(腕が、痛い…。誰か…!)


「何、してんの?」


冷たい声が、後ろから聞こえた。