「二人ともお待たせ。そろそろ下校時間だから終わろうか。続きはまた明日にしましょう」

 ガラガラと保健室のドアを開けて小川先生が帰ってきた。吉田君は一瞬だけ口角を上げて窓の方を向いた。

「あー、もうそんな時間か」

 見ればグラウンドで部活動をしていた生徒たちが片付けに入っている。

 まだ秘密ってどういう意味だろう。それに意味ありげなしたり顔。吉田君はこんなに小悪魔みたいな男の子だっただろうか。私が知らないだけか。他のクラスメイト、特に女の子は吉田君の魅力に気づいてるんだろうな。

 そう思うとなんだか少し寂しくなった。私ももっと彼のことを知りたい。この気持ちに名前がついているのだろうか。私には分からない。

「望月。また明日」
「うん。また明日」

 吉田君とは挨拶をかわして保健室で別れた。