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「よし、じゃあやるか」

 翌日の放課後。私と吉田君は保健室の丸テーブルに向かい合わせで座っていた。小川先生はニコニコしながらお茶を淹れてくれている。

「体育祭のケガ予防か……『はしゃぐな』とか?」

 私はルーズリーフを取り出して吉田君の発言をメモする。

「『はしゃぐな』とくれば『無理するな』とか、どう?」
「いいじゃん。あとは『自分を過信するな』とか?」
「……なんか、すごくネガティブな保健だよりになりそうだね」

 めちゃめちゃ張り切ってる人のやる気を削ぐのは、保健だよりではない気がする。もうちょっとオブラートに包んだ方がいいかもしれない。

「あ、じゃあ、『準備運動はしっかりしよう!』っていうのはどうかな?」
「お、望月ナイスアイデア! それ、見出しにしよう」