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「お、貼り出されてる」

 週が明けた月曜日。吉田君と一緒にお弁当を食べ終えた昼休憩。私たちは保健室前に貼り出された掲示物を見に来た。そこには2人で作った保健だよりが貼ってあり、なかなかいい感じに仕上がっていた。

「やっぱりこの絵がいいよな」
「そう? 私的にはもっとここの輪郭を丸くしたかったけど……」
「こだわるね~」

 上からゆっくり見ていって、右下に書かれたものに吸い寄せられた。

『制作者:2年3組吉田・望月』

 2人の名前が並んでいる。そのことに思わずニヤニヤしてしまった。

「東川、風邪だってな」
「そうみたいだね。すっごい熱かったからウイルス性のなにかかと思ったけど、普通の風邪でよかった」
「…………」

 吉田君はなぜか黙り込んで私を見下ろしてきた。その目は少しだけ寂しそうで、ドキッとする。

「吉田君……?」
「あの時、東川に対する看病が手厚かったし素早かったから、ちょっと妬いた」
「え」
「俺以外に優しくしてほしくない」
「吉田君……」

 思わぬ甘えにキュンとした。そっか、吉田君にはこんな一面もあったんだ。ちょっと意外だ。

 吉田君が本音を言ってくれたのなら、私も本音で答えなくちゃいけないよね。

 私は吉田君の澄んだ瞳を真っ直ぐ見つめた。