離婚前提から 始まる恋

頭のいい人ってどうしてなんでもすぐにわかってしまうんだろう。
私が単純すぎてわかりやすいのか、拓馬君の回転が速いのか、知られたくないと思っていることに限ってわかってしまうんだから、本当に嫌になってしまう。

「何があったんですか?」

優しく微笑みながら、さあ僕に話してごらんと私を見つめる視線に思わず心がぐらついた。
拓馬君なら同性として勇人の思いが理解できるのかもしれない。
そう思ってほんの一瞬口を開きそうになったけれど、ギリギリで私は思いとどまった。

「拓馬君って、いつもこんな風に女の子をバーに連れ込むの?」
「え?」
私が少し強めの口調で言ったことに驚いたのか、拓馬君がポカンと口を開けている。

さっきから親切心全開で私の悩みを聞き出そうとする拓馬君だけれど、考えてみればこの店に入った時の経緯が納得できない。
もともと私は拓馬君と飲みに行くつもりは無かったし、「飲みに行きましょう」って言われればきちんと断ったはず。
でもトイレに行くのを口実に店に入ってしまえば、逃げ出すこともできない。

「連れ込むだなんて人疑義が悪いなあ」
「だってそうでしょ?」
「花音さん、酔ってます?」

私は結構真剣に怒っているのに、ニコニコと笑みを絶やさない拓馬君にイラッとした。