離婚前提から 始まる恋

ブブブ ブブブ。
携帯の着信音。

見ると、リビングテーブルの上で勇人のスマホが震えている。

「勇人、電話だよ」
書斎にいる勇人に声をかけた。

「ああ、ありがとう。こんな時間に何だろう?」
ブツブツと言いながら携帯を手にする勇人が訝しげ。

「もしもし・・・ああ・・・ああ・・・はあ?」
しばらくして勇人の声が鋭くなった。

「どういうことだよ。それは何度も確認したんじゃないのか?担当者は誰だ?」

ドスン。
勢いに任せて勇人がソファーへ沈み込む。
その反動で私が体を起こした。

「ああ、すまない。花音は寝てて」
「うん」

「もしもし、副社長?」
ソファーに並んで座ったことで、向こうの声が漏れて聞こえる。

「こっちの話だ。それで里佳子、お前はいつから知っていたんだ?」

どうやら、電話の相手は里佳子さんみたいね。

「今日の昼過ぎに一報を受けました」
「何で早く言わないんだよ」
「こちらで処理できると思いましたので」
「そんなもん勝手に判断するなっ」
「すみません」

電話の向こうから里佳子さんの謝る声。
勇人は険しい表情のまま天を仰ぐ。
何か仕事上のトラブルがあったらしい。