勇人に電話をしても里佳子さんが出るのはよくあること。
きっとそれだけ勇人が忙しいのだろうし、かけた電話に秘書が出ること自体は母を見て育った私からすると不思議なことでもなかった。
ただ里佳子さんの言い方が・・・
「忙しい勇人に何か御用ですか?」「奥様とは違って時間がないのですが、急ぎますか?」なんて返事が来ることがほとんどで、かけた私の方が恐縮してしまう。
「何かあったなら俺に言ってくれればよかったのに」
なぜ言わなかったんだって口調で勇人は言うけれど、言える空気ではなかった。
私から見ると、勇人と里佳子さんの間には確固たる信頼関係があって、私が入って行く隙間はないように見えた。
「いえる訳ないじゃない。里佳子さんとは私たちがお見合いをする前からの知り合いで、仕事上でも勇人が信頼を置く特別な存在。実際、勇人が女性のことを名前で呼ぶのは里佳子さんだけでしょ?」
他の人は必ず名字で呼ぶ勇人が里佳子さんだけは名前で呼ぶ。
そのことが私は嫌だった。
「花音はずっと、そんな目で俺と里佳子を見ていたのか?」
「まあ、そうね」
今更否定するのもおかしい気がして、頷いた。
きっとそれだけ勇人が忙しいのだろうし、かけた電話に秘書が出ること自体は母を見て育った私からすると不思議なことでもなかった。
ただ里佳子さんの言い方が・・・
「忙しい勇人に何か御用ですか?」「奥様とは違って時間がないのですが、急ぎますか?」なんて返事が来ることがほとんどで、かけた私の方が恐縮してしまう。
「何かあったなら俺に言ってくれればよかったのに」
なぜ言わなかったんだって口調で勇人は言うけれど、言える空気ではなかった。
私から見ると、勇人と里佳子さんの間には確固たる信頼関係があって、私が入って行く隙間はないように見えた。
「いえる訳ないじゃない。里佳子さんとは私たちがお見合いをする前からの知り合いで、仕事上でも勇人が信頼を置く特別な存在。実際、勇人が女性のことを名前で呼ぶのは里佳子さんだけでしょ?」
他の人は必ず名字で呼ぶ勇人が里佳子さんだけは名前で呼ぶ。
そのことが私は嫌だった。
「花音はずっと、そんな目で俺と里佳子を見ていたのか?」
「まあ、そうね」
今更否定するのもおかしい気がして、頷いた。



