離婚前提から 始まる恋

ガタン。
すぐ向かいで音がして視線を向けると、勇人が立ちあがっていた。

ん?
なんだかとても場違いな行動の気がして見つめていると・・・

応接セットから少し外れた部屋の入口まで戻った勇人は、ゆっくりと床に膝をつき、両手をついて、深々と頭を下げた。

「勇人」
お願いだからやめて。

慌てて駆け寄ろうとした私は、母さんに腕をとられて止められた。

「私が至らないばかりに、ご心配をおかけして申し訳ありません。そして、こうして言っていただけなければ、花音を傷つけていたことにも気づかないままだったと思います。ありがとうございます。花音とはもう一度話をして、これからも共に生きていけるように説得するつもりです。どうかもう一度だけ、私を信じて花音を預けてください。お願いいたします」
一気に言い終えると、勇人は額が床につくほど頭を低くした。

「花音、お前はどうしたい?」
先ほどまでの険しさは消え、穏やかな顔に戻った父さんが私を見ている。

「勇人と話をしてみます」

勇人にここまでの覚悟を見せられたら、私だって信じるしかない。
もう一度、真正面から向かい合ってみよう。