離婚前提から 始まる恋

「お義父さん、お義母さん、ご心配をかけて申し訳ありません。私の秘書の田口里佳子は大学時代からの友人で、今の会社の副社長に就任した時から秘書として働いてくれています。仕事のできる有能な人間ですし、私自身も気心が知れていることもあり常に同行しているのは事実です。周囲に私と田口のことで色々な噂があるのも承知しています。しかし、田口は秘書であり友人です。それだけです」
「それを信じろっておっしゃるの?」
珍しい、母さんがすごく攻撃的だ。

「信じていただくしか・・・」
さすがの勇人も母さんに詰め寄られ、たじろいでいる。

「勇人君、今の君の話に嘘はないんだね?」
父さんも真剣な顔で確認する。

「はい。お互いにまだ学生だった十代の頃からの知り合いですので、周囲には親しげに見えるのかもしれません。それが誤解を招いたのなら私の不徳でしかありませんが、間違っても田口を女性として見たことはありません」
はっきりと話す勇人の言葉に、嘘は感じられない。

「花音、彼はそう言っているが、それでもまだ離婚したいのか?」
「それは・・・」

私の勝手な先入観でありもしないものに嫉妬をしたのかもしれないと、勇人の言葉を聞いて初めて気が付いた。