離婚前提から 始まる恋

翌日、杏の出勤とともにアパートを出て、少しだけ買い物をしてから自宅マンションへと帰った。

「ただいま」
きっと勇人はいないだろうとわかっていても、声は小さくなる。

あれ。
きっと散らかっているのかなって思ったのに、綺麗に片付いたリビング。
唯一生活感を感じさせるのは、ごみ箱に入った野菜ジューズの空だけ。
この様子だと朝食は野菜ジュースだけだったらしい。
そう思うと、妻として申し訳ない。

「冷凍庫にはすぐに食べられるものが入っていたのに・・・」

自分が勝手に家を留守にしておいて言えた義理ではないけれど、朝食を抜くと体に悪い。
私がいれば必ず食べてもらうのにと思うのは、きっとエゴよね。
私と勇人が離婚すれば、もう朝食の用意をすることもなくなるだろう。
私達は別々に朝を迎え、違う時間を生きていくことになるんだから。

「はあー」
パタン。

リビングに入った途端、私はソファーに倒れ込んだ。