離婚前提から 始まる恋

私は今、『何の悩みもなさそうなお気楽主婦ですね』とけなされたのだろうか？それとも、『お金があって贅沢できていいですね』と嫌味を言われたのだろうか？
どちらにしても素直には受け取れない。

「私から見れば里佳子さんの方がうらやましいですよ」
「どうしてですか？」
「だって、すごい美人だし、仕事でも能力を発揮して評価もされて、自立したかっこいい女性に見えます」
「そうですか？この年になって仕事だけって、寂しいですよ」
「でも、恋だってしていらっしゃるでしょ？」
「ええ、まあ、一応」
そう答えた里佳子さんの顔が少しだけ赤くなった。

嫌だなあ。
夫の浮気相手からのろけを聞かされるなんて、気分最悪。

「ごめんなさい、私少し疲れたみたいで」
「ああ、すみません長居してしまって」

私が強引に切り上げると、里佳子さんはすんなり立ち上がってくれた。
里佳子さんが、どんな意図があって私に話をしたのかは正直わからない。
ただどちらにしても、私は傷ついてしまった。