【今日はS高の体育館で部活の練習試合が行われた。

2年生同士の特別試合もあって、私はレフトのスパイカーとして出場した。

数日前から試合に出る事がわかっていた私は先日、紺野くんに冗談混じりで“応援に来てね”と伝えていた。

紺野くんは「気が向いたらな」とひと言だけ言うと、それ以上その事には一切触れなかった。

3年生の試合が終わり、私達の出番がやって来た。

試合が始まり、ふと観客席に目を向けると、信じられない事に紺野くんが応援に来てくれていた。

そして私と目が合うと、拳を突き出し「頑張れ」って言ってくれた。

めっちゃ嬉しかった。

元気100倍っ!?

もちろん試合の結果はS高の勝利だった。

紺野くんのおかげだよ…ありがとう】





【紺野くん…

あなたに気持ちを伝えたい。

でも、紺野くんが私の事を何とも思っていないのはわかってるから、告白なんて出来ない…。

すごい苦しい…

切ないよ…

こんな想いを抱えたままは…ツラ過ぎるよ。

そんな私を見て、それでも告白した方が良いと仲の良い友達は言ってくれた。

でも、私には無理…

それに、言わなければ少なくとも友達のままではいられるから…】

数ページ読んでみただけでも、仲村さんの僕への想いが伝わってきた。

僕は顔を上げ松下を見た。

「どうかしたか?」

「僕は仲村さんの気持ちに気付いてなかったんですか?」

「気付いている様子は全くなかったな」

信じられない…

自分の事だけど何て鈍感なヤツだと嫌になる。

そして僕は再び日記を開き読み始めた。

比較的最近のページを選んで…。