「どうかしました?」

「いえっ…」

何か不思議な子だ。

そんな所も、妙に惹かれる…

もっと話がしたい…

もう少し、このままいられないだろうか…

それに連絡先聞いたら教えてくれるかな?

どうしよう…

聞いて、軽い奴だと思われたら嫌だし…

「あっ‥あの…‥ちょっと待ってて下さい」

そう言うと、彼女は後ろに振り返り何かをしていた。

「こっ‥これどうぞ」

すると彼女からノートの切れ端を渡された。

見てみると、電話番号とアドレスが書かれていた。

「いいんですか?」

「連絡先を教えるくらい、今時あいさつみたいなものですよね」

「そうなんですか…」

嬉しいけど、彼女は誰に対してもそうなのだろうか? 

僕以外の男性にも…

「でっ‥でも、誰にでも教えてる訳じゃありませんよ。どちらかというと、私はこんな事初めてというか…‥」

彼女は慌てて弁解をしていた。

「そっ‥そうなんですか」

良かった。

彼女みたいな人が、誰かれ構わず連絡先を教えていたとしたらショックだ。

「良かったです。わかってもらえて…‥」

「何がですか?」

「私が“誰かれ構わず連絡先を教えてる訳じゃない”って、わかってもらえたんじゃ?」

「そんな事言いましたっけ?」

「えぇ、まぁ…‥」

彼女は、ああ言ってたけど言ってないよな?

「言いましたよ。絶対言いました」

「そうですか…」

彼女の自信ありげな言い方に、僕は言い負かされてしまった。

「私も教えてもらってもいいですか? スマホの…」

「あっ…そうですよね。教えてもらっといて、すいません。そうしたら、今メールで送ります」

「ありがとうございます」

そして、僕はメールで電話番号とアドレスを送った。

「メールしても大丈夫ですか?」

一応、確認はしておく必要はあるよな。

彼氏がいたら、さすがにマズイからな…

「私は今、付き合ってる人はいません。いらっしゃるんですか?」