スマホのアラーム音で目が覚めた。

時計を見ると6時だった。

あっ!?

しまった…。

昨日、亜季ちゃんに電話する約束をしていたんだった。

たぶん亜季ちゃんの事だから、遅くまで寝ないで待っていたに違いない。

学校に着くと、一目散に5組の教室に向かった。

でも、亜季ちゃんの姿はどこにもなかった。



ブルブルブル…‥ブルブルブル…‥

《おはようございます。何か用ですか?》

5組の教室の中を覗いていると亜季ちゃんからLメールが届いた。

《今どこにいるの?》

《言いたくありません》

《昨日の事だけど、ゴメン…》

《別に良いですよ。気にしてませんから》

《本当にゴメン》

「もういいですよ」

振り返ると亜季ちゃんがいた。

「亜季ちゃん…いつからそこに?」

「瑛太さんが来ると思って、廊下の陰に隠れてました」

「亜季ちゃん…‥」

「私、昨日は22時には寝ちゃいましたから心配しないで大丈夫です」

「どうして?」

「瑛太さん、たぶん疲れて寝ちゃうと思ったから」

「確かに亜季ちゃんの言う通りだけど、それは言い訳だから…。好きな人との約束を破るなんて最低だと思うし…」

「・・・・・」

「本当にゴメン!」

「もっ‥もういいです。今の言葉だけで十分です」

「そっ‥そう…」

亜季ちゃんは顔を真っ赤にしながらも笑顔で答えてくれた。

でも、今の言葉って何の事?

何か言ったっけ?

「もっ‥もう、その話はいいです。チャイム鳴りますよ。学校が終わったらいつもの場所で…」

「うっ‥うん」

亜季ちゃん、何であんなに顔を赤くしてたんだ?

とりあえず、許してくれたみたいだから良かったけど。

それから教室に戻り席に着くと、葵さんはまだ来ていなかった。

「紺野くん、おはよう」

仲村だった。

仲村はいつもどんな時も笑顔だ。

嫌な顔をしてるのを見た事がない。

「おはよう」

「昨日は大変だったみたいだね」

「そうなんだ」

「千葉くんの具合はどうなの?」

「救急車で病院に運ばれてから直ぐに手術なったんだ。手術は無事に終わったけど2~3週間は入院するらしい」

「そうなの。しばらくの間、2組の教室は静かになりそうだね」

「たまにはいいよ。あいつ本当にうるさいから」

「でも、ちょっとは寂しいんでしょ?」

「ちょっとな…って何言わせんだよ」