「さっ‥さっきも言いましたけど、紺野さんは女の涙と甘い言葉に弱過ぎます。気を付けた方がいいですよ。絶対に騙されますから。私でも簡単に騙せそうです」

「そうですかね?」

僕の質問に対する答えではなかった。

もしかして、葵さん…。

僕の勘が正しいかどうかはわからないし、未来の僕と葵さんの関係も葵さんにしかわからない。

でも僕らは、その未来へと着々と近づきつつあり、いずれ現実のものとなっていく事は逃れようにも逃れられない。



それから僕と葵さんは電車に乗り、それぞれの駅で降りて家に帰って行った。

家に帰ると20時を回っていた。

僕は、あまりの疲れで部屋に入るなりベッドに倒れ込んだ。

“ドッ”と疲れが出てくるのと同時に、ものすごい睡魔に襲われた。

何か忘れているような気がした。

大切な何かを…‥

そう…だっ…‥

あき…ちゃ…ん…‥

電話…する…約束し…てた…んだ‥…

「Zzz…‥Zzz…‥Zzz…‥」