僕は紺野瑛太、高校2年生で地元のS高校に通っている。

成績も特段良い訳でもないし、スポーツが万能という訳でもない。

いたって普通の高校生だ。

そして今日も学校が終わると、いつものように自転車に乗り、公園を通り抜け自宅へと向かっていた。

すると、桜の木の下でS高校の制服を着た見掛けない女子高生が、風に髪をなびかせ立っていた。

背はさほど高くはないが、スラッと痩せていて肌は色白、肩より少し長い髪、何よりもキリッとした大きな目が印象的だった。

きっと彼女は、どこかの大きな御屋敷にでも住むお金持ちのお嬢様…

というのが、僕の勝手なイメージだった。

また、後ろで手を組み、足をブラつかせている様子は誰かを待っているように見えた。

僕は横目で彼女を見ながら通り過ぎようとしていた。

「ちょ‥ちょっと待って…下さい」

彼女は僕に?声をかけてきた。

「えっ!? 僕ですか?」

僕は、自分を指さして聞いてみた。

「そっ‥そうです」

「何ですか?」

「初めまして。こんのえいたさんですよね?」

何で僕の名前を知ってるんだ。

どこかで会った事があるのか?

いや、彼女は「初めまして」と言っていた。

「はいそうです。S高校の2年です。あなたの名前は?」

「あなたが…」

僕の質問には答えないんだ…。

彼女は僕を知っている。

なぜかはわからない。

でも、彼女の様子からするに、僕の事を待ち伏せしていたように思える。