ザザーーッ……ザザーーッ……



先生 『えー、次は368ページを開いてください。そうすると……』



ザザーーッ……ザザーーッ……



ゆう(雨……止まないなぁ)



先生『では、ここの問題……ゆうさんお願いします。』



ゆう『えっ!?あ……えっと、分からないです……』



先生『聞いてなかったのですか?今度から聞いててくださいね?』



クスクス……クスクス……



ゆう『はーい……すみませんでした…今度からちゃんと聞きます…』



先生『よろしい、では、ここの問題…里山さんお願いします。』



そして授業が終わり…放課後



キーンーコーンカーンコーン…



『さようなら!』



みんな帰っていく中、僕が復習をしていると、誰かが話しかけてきた



しゅう『よっ!ゆう!帰らねーの?』



横を見ると、しゅうが笑顔でいた



ゆう『帰るよ、ちょうど終わったし!』



しゅう『お!なら一緒に帰るか〜?』



ゆう『いいよ!帰ろーぜ!』



ザーザー降りの雨の中…しゅうと僕は傘をさしながら話をして帰っていた



その時だったよ、君に出会ったの



しゅう『それでさ〜!間違えてコーラじゃなくてコーヒー押しちゃってさ!』



ゆう『あはは!ちゃんと見なきゃダメだぞー!』



クウン……クウ〜ン……



僕達はその声に気がついて…横を見てみると、



ゆう『ん?犬?』


しゅう『野良犬にしては…毛並みがちゃんとしてるし、野良犬の種類には見えないな』



ゆう『ってことは、捨て犬……?』



しゅう『そうだな……可哀想に…最近こういうの増えてるよな』



ゆう『ホントだよなぁ、捨てるくらいなら最初から飼うんじゃねえよ…』



しゅう『でも、最初から捨てるの分かってたら飼わないと思うぜ?未来予知出来るわけでもねーんだし』



ゆう『まあな……なぁ、この犬どうする?』



しゅう『とりあえず、動物病院行こうぜ?俺が金払ってやるから』



ゆう『いや、それは悪いから俺も出すよ。アルバイトでいくらでも稼げるし』



しゅう『お!サンキュー!じゃあ、こっから近いとこの動物病院行こーぜ!』



ゆう『おう!行こーぜ!』



僕達は犬をタオルに包んで抱き抱え…近くの動物病院へと、自転車を走らせた
どうか、助かってくれ…と願いながら



カランコロン♪



ゆう『お!ちょうど人空いてる!』



しゅう『ラッキーだな!受付の人に番号札貰って獣医さんに見てもらおうぜ』



ゆう『そうだね!』



しゅう『あの!見てもらいたいんですけど……大丈夫ですかね?』



受付の人『ええ、大丈夫ですよ!では、ここに名前を書いて…こちらの番号札をお持ちになって下さい、何分かしたらお呼びいたします。』



ゆう『はい!ありがとうございます!



ゆう『ふう……良かったぁ……』



しゅう『ホントだよなぁ……あ、ゆう…病院に連れてきたはいいけど。その犬飼うのか?』



ゆう『飼うしかないよ、僕の家なら広いし…庭もある、飼えるよ!あとは親の許しが必要だけど…』



しゅう『一応聞くけど、なんで飼うんだ?』



ゆう『わかってると思うけど……まあ、言うよ、雨の中捨てられて弱って死んでいく姿を僕は見たくない、だから引き取るんだよ…この子をさ!』



しゅう『相変わらず優しいなぁ…ゆうはさ!』


ゆう『そうか〜?へへっ、まあありがと!しゅう!』



受付の人のアナウンス『楓乃 優様、秋吉 柊羽様、101号室へどうぞ』



ゆう『呼ばれた!行こう!この子も辛そうだし…』



しゅう『そうだな!行こーぜ!』



僕達は101号室へ犬を抱き抱えながら向かい、
そして、1分かしてつき…ドアをガチャりと開けた



ゆう『失礼します!』



しゅう『失礼します!』



獣医さん『はい、こんにちはおふたり様…それで、どのようなご要件です?』



ゆう『実は、さっきこの犬がダンボールに入れられていて……捨てられていたんです。辛そうなので…見ていただけませんか…?』



しゅう『俺からもお願いします!』



獣医さん『もちろん、見させていただきますよ、ではこちらへ』



そうやって案内されると、獣医さんが台の上に犬を座らせ具合をみている…犬はかなり怯えているようで牙をむきヴヴーと大きく唸っている、



獣医さん『大丈夫だよ〜、すぐ終わるからね〜…』



しゅう『前の飼い主に酷いことされたんだろうな…』



ゆう『だね……これだけ怯えているってことは酷いことをされたんだろうな』



獣医さんが検査を色々してみると獣医さんは言った



獣医さん『命に別状は無いですが…虐待の跡がありますね…その他はノミもダニも寄生虫もついていないので…一応健康と言えるでしょう



ゆう『虐待の跡……!?』



しゅう『許せねぇ……』



獣医さん『とりあえず、この子を引き取るのなら…あ、あなた達は高校生ですよね?』



ゆうとしゅう『はい!』



獣医さん『なら、親に伝えてOKされたら役所で手続きをすると良いでしょ
う。』


僕達はそう言われ、お礼を言ってから部屋を出て……1356円という中々の値段を2人で払った…お金を払ってから病院をでて家に帰ることに




ゆう『OKされるかなぁ……』



しゅう『ゆうのお母さんもお父さんも犬好きでめっちゃ優しいしOKされるんじゃねぇの?』



ゆう『それはそうだけどさ……勝手に犬拾って動物病院に行ってこんな事してるのがバレたら……ひぇぇ……』



しゅう『ゆう……ドンマイ…』



ゆう『とりあえず、この子抱き抱えて自転車で急いで帰らないとな!』



しゅう『だな!事情を話したらもしかしたら怒られずに済むかもだしな!』



そんなことを話しながら自転車で晴れたばかりの空や風になびかれて、水溜まりをひいていき、自転車を走らせる…



10分後…



ゆう『た、ただいま〜……



しゅう『お邪魔しまーす……



母さん『!!優なの!?あら、柊羽くんも?』



しゅう『あ、はい!ゆうのママさんお邪魔してます!



母さん『はーい!あ、上がっちゃって〜!テーブルのところに座っててね!お茶とお菓子だすから!』



しゅう『お!ありがとうございます!じゃあ、座ってますね!』



母さん『それで…ゆう、まず…どこに行ってたの?柊羽くんと遊んでたとか?だとしたら連絡をしなきゃダメでしょう?お父さんも私も心配したのよ?』



ゆう『ごめんなさい……でも!犬が雨の中捨てられてて……!虐待の跡もあって……!動物病院に行ってたんだ…見捨てられなかったから…』



母さん『あら……犬が捨てられていた?虐待の跡も……?だからその抱っこしてる子は怯えているのね…』



ゆう『そうなんだよ!だから……僕が引き取ってもいい!?』



父さん『話に首を突っ込むようで悪いが……ゆうはちゃんとその子の面倒を見れるのか?』



母さん『そうよ?飼うのは全然構わないけれど、面倒をちゃんと見れて、可愛がってあげれるの?』



ゆう『僕は……動物を捨てるような人間じゃない!ちゃんと可愛がる!面倒も見るし……!だから!』



父さん『……うーむ、いいだろう…母さんもいいかな?』



母さん『ええ、いいわ…ちゃんと大切にしてあげるのよ?ゆう?』



ゆう『!!…もちろん!ありがとう!父さん!母さん!』



母さん『さあ、お菓子とお茶用意したから…みんなでこの子の名前でも考えましょう?あと、役所にも行かなきゃね』



父さん『そうだな、じゃあ俺は犬の飼い方とかの本を買ってくるよ、』



ゆう『ありがとう!じゃあ、僕も役所に行く!名前も考える手伝いもする!』



しゅう『良かったなぁ!ゆう!俺にも何かあったら相談してくれていいぜ!』



ゆう『おう!』