「え?俺にくれんの?」 「うん。行く宛てのないクッキーだったんだ。捨てるのもったいないし、原野くんにあげるよ。」 彼は社会科教科係の原野康介くん。サッカー部の次期部長さんだ。 彼は、なんかマイペースで独特なので、男の子が苦手な私の数少ない男友達である。 そして、私の一瀬先生への思いを知る数少ない人物である。 「なっちゃんは粘り強くていいねェ。あっ、クッキー美味しいよ」 そう言って、全部クッキーを食べてくれた。原野くんは出会ったその日に、声をかけてくれて、すぐになっちゃん呼びになった。