学校で武頼とすれ違うたび
胸がズキズキした

武頼のことが嫌いだからかな


無視してるのに意識してしまう

だって武頼がいつも私を見てるから


そんな寂しそうな目で
心配そうな顔で

私を見ないでよ


日が落ちるのがどんどん早くなって
ひとりで帰るのが怖くて

なんとなく誰かにつけられてる気がして

考えすぎかな…って思ったけど


やっぱりつけられてた


武頼だった


最初は気持ち悪いな…って思ったりしたけど
きっと私が暗いの怖いって話したから

つけてきてるんじゃなくて
きっと見守ってくれてる


あの日のこと
全部忘れてって言ったのに
忘れてないんじゃん


私のパンツ見てないって嘘ついたのも
その後、正直に反省文書いてきたのも
武頼の人の良さかもしれない


私は
すれ違っても相変わらず無視してたし
武頼が書いた反省文も読んでなかった


こんなに避けてるのに
避けられてるの知ってるはずなのに


話し掛けるわけじゃなくて
いつも私を心配そうに見てる


なんでそんないい人なの?


あの人に話さなきゃよかった
そう思った


でもそれで私は武頼に助けられた


暗い帰り道
ひったくりからおばあちゃんを助けようとした時

本当は怖くて
本当は自分が逃げたかった

でもおばあちゃん助けなきゃ!
その一心でひったくりに立ち向かった時

武頼が私の前に立った


ひったくりは武頼を押して逃げた

それで武頼は転んで右手を骨折したんだけど


でも私とおばあちゃんは助かった


武頼は私を助けてくれた


それがきっかけで
私は武頼の右手の代わりをすることになった