次の日、瑞樹の部屋に21時に行くと約束していたわたしは、時間が来るまでの間この前から描いている自分の部屋の絵の続きを描いて過ごした。
途中、夏君からもらったメモのことを思い出し、鞄から手帳を取り出すと後ろに付いているポケット部分にメモを入れた。
わたしからの質問に対する答えはいつも一言であっけなく、けれどため息が出るほどきれいな字で書かれたメモを捨てることはできなかった。
今日もらったメモには"嫌いなもの甘いもの"と書かれてあった。
わたしはこの美しい字を見るたびに、夏君がどんな人なのか見てみたいという思いが強くなっていった。
瑞樹の部屋に行く時間になり、廊下に誰もいないことを確認すると静かに部屋を出た。
ドアをノックする訳にいかずゆっくり開けると「どうぞ」という声が聞こえ中に入った。
中は暗く、瑞樹の指示で電気を付けるとすぐに目に飛び込んできたグランドピアノ。
天井の埋め込み式照明の柔らかい灯りに照らされた部屋の壁紙は全面濃いグレーで、ベッドやテーブルなどもあるけれどそこはまるで音楽スタジオのような空間。
ちひろが用意してくれたわたしの部屋2つ分より広い。
「凄い部屋……だね」
小声でそう話すと大きな黒い1人掛けのリクライニングソファーに座る瑞樹が、もう一台ある同じソファーに座るよう手で合図した。
「どうぞ」
ソファーに座るともう一度部屋を見渡した。
途中、夏君からもらったメモのことを思い出し、鞄から手帳を取り出すと後ろに付いているポケット部分にメモを入れた。
わたしからの質問に対する答えはいつも一言であっけなく、けれどため息が出るほどきれいな字で書かれたメモを捨てることはできなかった。
今日もらったメモには"嫌いなもの甘いもの"と書かれてあった。
わたしはこの美しい字を見るたびに、夏君がどんな人なのか見てみたいという思いが強くなっていった。
瑞樹の部屋に行く時間になり、廊下に誰もいないことを確認すると静かに部屋を出た。
ドアをノックする訳にいかずゆっくり開けると「どうぞ」という声が聞こえ中に入った。
中は暗く、瑞樹の指示で電気を付けるとすぐに目に飛び込んできたグランドピアノ。
天井の埋め込み式照明の柔らかい灯りに照らされた部屋の壁紙は全面濃いグレーで、ベッドやテーブルなどもあるけれどそこはまるで音楽スタジオのような空間。
ちひろが用意してくれたわたしの部屋2つ分より広い。
「凄い部屋……だね」
小声でそう話すと大きな黒い1人掛けのリクライニングソファーに座る瑞樹が、もう一台ある同じソファーに座るよう手で合図した。
「どうぞ」
ソファーに座るともう一度部屋を見渡した。