わたしは背中から顔を上げると窓に映る瑞樹を見た。

遠くを見つめる瑞樹の目は複雑に揺れている。

「瑞樹は最低なんかじゃないよ。絶対に絶対に」
「だとしても、とてつもなくかっこ悪いことは確か」
「わたしはそんな風に思わないよ」
「良かった。これを話したらかっこ悪すぎて真琴に嫌われると思っていたから」

瑞樹はこちらに体を向けると笑顔を見せる。

「ねぇ瑞樹?」

わたしは瑞樹の隣に並ぶと顔を覗き込んだ。

「なに?」
「本当にわたしから嫌われると思った?」
「ん~……」
「思っていたらショックだけど?こんなことで人を嫌いになるような小さい人間だと思われているってことだから」

瑞樹は今にも吹き出しそうな顔で答えた。

「まったく思っていなかった。ただ、もう少しかっこつけていたかったから言い出せなかっただけ」
「なにそれ変なの」
「男子にはそういうところがあるのっ」

わたしたちは笑った。心の中はほとんどが悲しさで埋まっていて、でも笑った。